『今、必要な話力とは①イライラコントロール法』

2021年1月21日

活動報告
『今、必要な話力とは』

コロナ禍でコミュニケーションスタイルも変化しています。
SNSやオンラインでの会話が増えた今、伝わる話し方をするには、伝え方に工夫が必要です。
まずは、ストレスが溜まりがちな今、是非、心がけていただきたい
「イライラコントロール法」です。

■コロナ禍でのイライラコントロール法

2021年1月12日(火)愛知県小牧市の多世代交流プラザで
「今、必要な話力とは」というテーマでお話をしました。3回シリーズの予定で
したが、緊急事態宣言が発令されたため2回目以降の講座はキャンセルとなり、
今月入っていた別の会場での講座も全て中止になってしまいました。
そこで、講座でお話しした内容、お話しする予定だった内容を抜粋し、今回から
シリーズでご紹介していきます。

 

表情がわかりにくいマスク生活、ソーシャルディスタンスで、気軽に会話も握手もハグもできず、大声で笑い合うこともできないですよね。
外出自粛で、家族と過ごす時間が増え、距離が縮まったと感じている人もいる一方で、逆にそれがストレスになり、虐待につながったり、子どもの居場所がなくなったりしています。
オンラインでの会議や飲み会で、新たなコミュニケーション方法も盛んになってきましたが、オンラインだと、ネット環境に左右されますから、「よく聞こえなくて返事をしなかったために、無視したと誤解されて雰囲気が悪くなったことがある」と言っていた人もいました。オンラインで話す時は、事前にマイクとスピーカーのチェックをしておきましょう。
オンラインでは、表情をハッキリ顔に出してリアクションをしないと、不機嫌に見えてしまうこともあります。また、相手が話しているときは、共感したり、納得した時に、うなずいてあげましょう。うなずいて貰えるだけで話しては安心します。

■イライラが生まれるのはどんな時?

では、そもそもイライラは何から生まれるのでしょう?

・心を傷つけられた時
・予定を狂わされた時
・自分が我慢していると感じた時
・自分が被害を受けたと感じた時(理不尽な扱い)

 

コロナ禍では、様々な予定が変更になり、我慢を強いられ、人によっては仕事が無くなったり、激減したり…誰もがみんなコロナの被害者です。
イライラが生まれる原因がゴロゴロしています。
そして、いつ終息するかもわからない漠然とした不安感は、常にストレスがかかっている状態ですからイライラして当然です。
でも、どんな状況にあっても、いつも変わらず穏やかな人もいます。なぜでしょう?

■怒りの押しボタンは2つある

 

 

 

私が指導講師を務めている『セカンドステップ』という教育プログラムでは、
「怒りの押しボタン」は2つある。と説明しています。

※「セカンドステップ」とは、※セカンドステップとは、1980年代にアメリカで開発された
 教育プログラム、ファーストステップは被害者にならないため、セカンドステップは、
加害者にならないし被害者にもならないための教育プログラムで、暴力防止プログラム、
キレない子どもを育てるプログラムなどと言われている。

http://www.cfc-j.org/

 

2つの「怒りの押しボタン」とは「外側の押しボタン」「内側の押しボタン」です。「外側の押しボタン」は、自分の意思に関係なく、外側から押されてしまいます。つまり、怒りの原因です。
そして、「内側の押しボタン」とは、自分で怒りを大きくしてしまう捉え方です。

たとえば、知り合いが向こうから来たので挨拶をしました。でも、相手が挨拶をしてくれなかったとしたら、その瞬間、ちょっとイラっとしますよね。
これが、外側から怒りの押しボタンが押されてしまったということです。
その後、「こっちが挨拶してるのに無視するなんてヒドイ!」と捉えると、
自分で内側の押しボタンを押してしまうことになります。
内側の押しボタンが押されると、怒りが増幅してしまいます。
もし、その時、「何か考え事をしていて気づかなかったのかも」と捉えれば、内側の押しボタンを押さないですみます。

■「見下され不安」

 

お店で暴力を振るったり暴言を吐くカスタマーハラスメントは、
お金を支払えば、店の人は自分を敬って当然。という偏った考え方から生まれます。そういう人に、何かをお断りしたり、制限したり、言葉使いが不適切だったりすると、途端に怒り狂います。
そこには、「見下され不安」があると、私の心理学の恩師でもある心理学博士の榎本博明先生は言っています。
https://toyokeizai.net/articles/-/135205?page=3

 見下され不安とは、「自分に自信が無いと被害者意識が
生じる。相手を見下すことで、自分を優位な立場にすり
替える」

 

ということです。職場や家庭で、自分が見下されていると感じている人は、お客という立場になった時、相手の態度が気に入らないと、「こっちはお金を払う客だぞ。客である私を見下さすような態度は許せない」という心理が働くのです。

特に、今は長引くコロナの影響で、健康面での不安に経済的な不安も加わり、なかなか平常心ではいられない状況です。
ストレスがたまっている状態は、怒りのバロメーターが0ではないのです。
電化製品で言えば、常に電源が入り待機状態になっているのと同じです。
待機状態だからリモコンボタンを押せばすぐにテレビがつく、エアコンがつくのと同じで、外側から怒りのスイッチが押されるような事があると、通常より怒りのレッドゾーンに早く到達しやすいのです。
だから、瞬間的に「内側の押しボタン」を押してしまいます。
イラッとした最初の6秒間で最も「アドレナリン」という闘争をかき立てる脳内伝達物質が分泌されると言われています。ですから「内側の押しボタン」を押さないように意識して、一度立ち止まりましょう。

 


深呼吸により、セロトニンという心の安定に不可欠な脳内伝達物質「セロトニン」が分泌されることがわかっています。でも肩呼吸で短く早く呼吸をしてしまうと、逆に闘争スイッチが入ってしまいます。
拙著『イライラ虫と・ま・れ』では、『セカンドステップ』で教える深呼吸の方法を絵本にして紹介しています。熱々スープを冷ますように口からゆっくり息を吐き、匂いを嗅ぐように鼻から吸います。イラッとしたら、ゆったり深呼吸をすることは科学的にも有効なのです。もし、怒りが爆発してしまったら物理的にイライラの原因から遠ざかりましょう。
ちなみに、私は夫とケンカをすると、「トイレに行ってくる!」と言ってその場から離れます。トイレで手を洗えば、文字通り「クールダウン」でき、冷静に考えることができるようになるのでオススメです。

■怒りの感情コントロール法

・自分の怒りのサインに気づく
・イライラを外在化する(怒りの押しボタン・イライラ虫)
・イライラの理由を言語化する
・身体の力を抜く→深呼吸〈セロトニン〉最初の6秒間で深呼吸
・怒りが爆発したら、クールダウン
(その場を離れるなど)

 

普段から、自分は、こういう状況の時にイライラする。と意識して、内側の押しボタンを押さないようにしましょう。
好きな音楽を聞いてリラックスしたり、ゆったりお風呂に入るとか、マインドフルネス(瞑想)などで心を落ち着かせるのもよいですね。
昼間は運動をして積極的に身体を動かして気分転換をはかるなど、自分なりのストレス解消法をみつけておきましょう。
生活の乱れや睡眠の乱れは感情をコントロールする脳にも影響し、イライラしやすくなります。朝は決まった時間に起きて、カーテンを開けて日光を浴びましょう。

 

 

 

CORON 千田伸子(ちだ のぶこ)
コミュニケーションアドバイザー、大同大学非常勤講師、元アナウンサー、
構成作家、日本家庭教育学会認定家庭教育士、「セカンドステップ」指導講師、「こころの発達アテンダント」認定講師、「家庭教育カウンセラー」
著書 絵本『イライラ虫と・ま・れ』文芸社

 

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