「クイズを作ると
コミュニケーション力が上がる?!」
東海地方の30代以上の方ならご存じの方が多いと思いますが、
かつて、『天才クイズ』という、東海地方で37年間続いたCBCの子ども向け
クイズ番組がありました。
私は、この番組で最終回までの11年間、問題を作成していました。
■『天才クイズ』の問題とは…
愛知県在住の構成作家でコミュニケーションアドバイザーの千田伸子です。
構成作家は、番組の台本を書いたり企画を立てたりする仕事ですので、
クイズ番組からオファーがあればクイズを作ります。
『天才クイズ』とは、ボーイズチーム30名・ガールズチーム30名の小学生がCBCホールに集まり、○と×が書かれた赤白の帽子をかぶって答える2者択一のクイズ番組でした。全問正解すれば天才賞!1問間違えると秀才賞が貰えます。
後半の数年はマイナーチェンジもしましたが、基本は小学生が大勢出演し
”天才博士”が問題を出題するというスタイル。これは37年間変わりませんでした。
こんな感じ。
博士「小学校6年間のうち、一年間で一番たくさんの漢字を習うのは、6年生で
ある?」
司会者(当時は、林家こぶ平さん 今の林家正蔵さん)が、
「YesかNoか?帽子をかぶりましょ~」と促すと、
子ども達は赤白どちらかの帽子をかぶります。すると、
博士「答えは…ノ~~!」と天才博士の声が高らかに響き渡ります。
ちなみに、当時は、6年間で合計1006文字の漢字を習い、
3年生と4年生が200文字で最も多く6年生は181文字でした。
現在は、少し増えて6年間で1026文字習うのですが、
4年生が202文字で1番多く、6年生では191文字ですから、やはり
6年生より4年生の方が多くの漢字を習うんです。ちょっと意外ですよね。
こんな風に、小学生でも何を問われているかはわかるけれど、答えには迷う。
という問題を出していました。
では、もう1問! みなさんもチャレンジしてみて下さい。
博士「ペンギンの足の裏の色は黄色である?」
博士「答えは…NO!」
実は、こういう問題はYesにはできないんです。
だって、黒っぽいけれど黒とも言い切れない。焦げ茶色のもいます。
ペンギンの背中は黒っぽいですよね。泳いでいるとき、上から見ると目立ちません。だから、足の表側は肌色っぽかったりするんですが、足の裏は黒っぽいんです。もし足の裏が黄色かったら、泳いでいるとき、目立っちゃうでしょ。
こういう問題で、「黒である yes」なんてやったら、すぐにクレームの電話がかかってきます。
「あれはチャコールグレーだ」とかね。
■子どもにクイズを作らせよう!!
クイズで答えるのは一瞬ですが、問題を作るには、調べて、裏取りをして、
専門家に確認をしたりしてから放送されます。
子どもに間違ったことは教えられないですからね。
そして、30分の放送時間内にはCMも入りますから、正味20数分で
8問とか10問の問題と回答・解説をしなければなりません。
解説は、短く簡潔にしかも小学生が聞いても納得するように説明する必要があります。要約力の勝負です。
だから、クイズを作ると頭を使うんです。
お子さんが得意なこと、好きなことを、クイズにして出題し、その解説まで考えさせてみて下さい。わかりやすく解説することができれば、格段に文章力が上がります。わかりやすい文章が書ける人は、たいてい話も上手です。
書く練習をすると、コミュニケーション能力がアップするんです。
・「なぜだろう?」と不思議に思ったことを調べて問題にする。
・初めて知って「へー、そうなんだ!」と感動したことを問題にする。
・問題文は、簡潔に。
・解説は、簡潔かつ正確に!「なるほど!」と思って貰える順番で説明する。
■世代の違う人との雑談に!
世代の違う人とのコミュニケーションに役立つのが「昭和クイズ」。
昨年秋に終了した東海ラジオの『SKE48ヂカラ』では、毎回一人ずつSKEのメンバーが登場して、私たちには懐かしく、平成生まれのSKEのメンバーは知らないような昭和の時代のことを出題します。
このクイズを1年半毎週作っていたんですが、これがけっこう楽しかったんです。
たとえば、こんな問題。
問題:昭和36年、当時の子ども達の好きな物といえば、「巨人・大鵬・ ? 」。
と言われていました。
では、この頃、子ども達の好きな物「巨人・大鵬」と、もう一つは
何だったでしょう?
正解:玉子焼き
解説:当時、巨人軍の3番・4番の主力打者は王貞治に長嶋茂雄。
ずば抜けてファンが多い球団が巨人軍でした。
また、相撲界でも双葉山以来、と騒がれて入幕し、たった1年6場所で
大関に昇進した大鵬が人気の的に。
そこで、その頃の子ども達が大好きな食べ物「玉子焼き」と、
巨人・大鵬を並べて「巨人・大鵬・玉子焼き」という言葉が生まれました。
平成生まれのSKEメンバーには、子どもの好きなモノが「玉子焼き」ってピンと
来なかったようでした。そりゃそうですよね…。
では、もう一問。
昭和52年頃はやった流行語で、話が通じないことを
「話が ? 」と言っていました。
では、「話が ? 」の「 ? 」とは何でしょう?
正解:ピーマン
解説:中身が空洞のピーマンのように話の中身がないこと。
内容が通じない。といった意味で、使われました。
昭和52年頃、早稲田大学の学生は、「あの先生は、話がピーマン」と
使っていたことから全国に広がったとも言われています。
昭和世代には、簡単なんですが、これもSKEのメンバーは苦労していました。
誰が回答者だったか忘れたけど…。
クイズを考えて、出題して、相手にわかりやすい解説をする…これ、脳トレにも良いと思いますよ。おじいちゃん、おばあちゃんとクイズを作り合うのもよいかもしれませんね。
CORON 千田伸子(ちだ のぶこ)
コミュニケーションアドバイザー、大同大学非常勤講師、元アナウンサー、
構成作家、日本家庭教育学会認定家庭教育士、「セカンドステップ」指導講師、「こころの発達アテンダント」認定講師、「家庭教育カウンセラー」
「JPEA認定レジリエンストレーナー」
著書 絵本『イライラ虫と・ま・れ』文芸社