子どもたちを性被害から守るための教育を!
教員が児童を盗撮し、それをSNSのグループで共有し合うという、耳を疑うような事件が報道されました。子どもたちの安心安全を守るべき場所で起きた性加害は
大きな衝撃でした。では、どうすれば私たちは子どもたちを守ることができるのでしょうか?
学校に防犯カメラをつける?児童への写真撮影を規制する?それでは根本的な解決にはなりません。今回は、たまたま学校の先生が起こした事件だったため、大きく報道されましたが、子どもたちをターゲットにした性犯罪者はどこにでもいます。児童性的虐待の90%は顔見知りとも言われています。それなら、子どもたちに、今、されたことは性犯罪なのだと気づかせること。事前にNOと言うこと、被害に遭ったらHELPが出せる環境を作っておくことが必要ではないでしょうか?
チャイルド・プロテクション・ユニットとは

『チャイルド・プロテクション・ユニット』とは、子どもたちが、自分で自分の
安全を確保する方法を学ぶ教材です。
アメリカのNPO法人Committee for Children(以下CfC)が開発しweb公開しています。
CfCは、1980年代に売春経験がある女性の85%が、子ども時代の性的虐待の被害者だったという調査報告を受け、性的虐待に対する予防プログラム「Talking About Tnouching」を開発しました。その後、理不尽な暴力を振るうことも振るわれないこともない社会を目指し「セカンドステップ」を開発しています。これが24年前に日本でも翻訳され、私たちNPO法人日本子どものための委員会が研修会を行い全国に広めています。「非認知能力」と言う言葉も最近、浸透しつつありますが、セカンドステップは、社会性やコミュニケーション力、感情調整や問題解決力など、まさに「非認知能力」を育む教材なのです。私たちセカンドステップ指導講師は、まだ日本では翻訳されていませんが、ファーストステップの改良版として開発された「チャイルド・プロテクション・ユニット」こそ、子どもの安全を確保する教育プログラムとして活用できると考え、その方法を紹介しています。

子ども達に伝えるべきことは
伝え、許可を得る。
・「安全なタッチと安全ではないタッチ」その違いを教える。
・「タッチングルール」プライベートゾーンは人に見せたり触らせない。
・「NOと言う」イヤなことはイヤと言ってもいい。
・「親には内緒だよ」と言われたら内緒にしてはいけない。
・親が信じてくれなくても、助けてくれる人がみつかるまで言い続けること。
もし、子どもから被害を告白されたら
加害者が身近な人(夫・親戚・近所の人・先生・コーチなど)の場合、その人との関係が悪くなることを恐れ、信じようとしない態度をとってしまうかもしれません。しかし、この言葉が最も危険です。
子どもは、「この人に言っても救って貰えない」と思い、口を閉ざしてしまいます。
「よく話してくれたね。びっくりしたよね」と落ち着かせ、子どもを信じ、これが子どもの責任ではないことを伝えて保護し、信頼できる大人同士で相談したり児童相談所などに相談するこなど、すぐに対応しましょう。
学校ベースの予防を
アメリカではチャイルド・プロテクション・ユニットを学校単位で実践しています。子ども用の教育キットだけでなく、校長、教員用の「全スタッフトレーニング」や保護者用の動画も公開しています。
教員も保護者も一緒に、性的虐待防止の予防プログラムを受け、何が児童保護に違反するのか、被害に遭った子どもが告白した時の適切な対応や報告などを組織として共有しているのです。
日本では、まだまだそのような体制が整っていませんが、こういった考え方を広め、子どもの安全を確保する取り組みを進めていければと思っています。
CORON 千田伸子(ちだ のぶこ)
コミュニケーションアドバイザー、大同大学非常勤講師、元アナウンサー、
構成作家、日本こどものための委員会理事、「セカンドステップ」指導講師、
「こころの発達アテンダント」認定講師、家庭教育カウンセラー
JPEA認定レジリエンストレーナー
著書 絵本『イライラ虫と・ま・れ』文芸社
https://coron-mam.com/