予防教育としての『セカンドステップ』

2025年4月3日

子どもを被害者にも加害者にもしない教育プログラム

いじめが起きたり、不登校になってから対応するのではなく、今、求められているのは、”予防教育”です。事前に子どもたちに共感力や感情調整、問題解決の方法、逆境に遭った時に立ち直れる「レジリエンス」などを身につけさせることで、子どもたちの生きづらさが軽減されるのです。
「でも、具体的に何をどう教えたらよいのかわからない…」と悩まれている方も多いのではないでしょうか?

『セカンドステップ』は、1980年代にアメリカで生まれた教育プログラムです。ファーストステップは、性被害を含めた虐待の被害者になることを防ぐプログラムでした。そして、2番目に生まれたのが、子どもを被害者にも加害者にもさせないことを目的に開発された『セカンドステップ』です。このプログラムがアメリカのみならず世界13か国に導入され、日本では、2001年にNPO法人日本こどものための委員会が翻訳し普及活動を行っています。
2009年から東京都の品川区立の全小学校で1年生10時間、2年生10時間の授業が行われているのを始め、多くの小中学校、幼稚園・保育園、児童養護施設、指導相談所、放課後等デイサービス施設、少年院などでも実践され、その効果が実証されています。

『セカンドステップ』の目的

『セカンドステップ』は、気持ちを伝えあうスキルや、感情調整、問題解決の方法を身につけ、人間関係を豊かにすることを目的に作られています。
子どもの衝動的・攻撃的な行動をやわらげ、社会への適応力を高め、円滑な人間関係を体験的に学ぶことができます。

このように、相手と自分の気持ちに気づき、衝動的に行動をしないで感情を調整し、話し合って問題解決ができるように、プログラムが組まれています。
頭の体操や人形劇による導入、レッスンカードを使って様々なシチュエーションについて、どう行動するかを考えさせ、ロールプレイで体験してみるという流れで、丁寧に20~25時間のレッスンを積み重ねることで、子どもたちの社会性が育っていくのです。
セカンドステップ指導講師として、私も15年ほど前から愛知県東海市の小中学校の特別支援学級や名古屋市内の放課後等デイサービス施設でセカンドステップを実践してきました。
保護者にも公開し、授業後には教員・保護者との懇談も行い、授業だけでなく日常生活にも活用してもらうことで子どもたちの社会性が育っていく姿を目のあたりにしてきました。

今は、なかなか自然には社会性が身に付きにくい世の中です。
共感力が低下していると言われ、すぐにカッとなってハラスメントをおこしてしまう大人も多い今こそ、子どものうちから社会性や情動を身につけるための教育を行う必要性があるのではないでしょうか?

研修会を受講することで、誰でもこのプログラムを実践することができます。
セカンドステップにご興味のある方はこちらまでURL:http://www.cfc-j.org/

 

 

CORON 千田伸子(ちだ のぶこ)
元アナウンサー、構成作家
NPO法人日本こどものための委員会理事・セカンドステップ指導講師会長
コミュニケーションアドバイザー、大同大学非常勤講師、日本家庭教育学会認定家庭教育士、「こころの発達アテンダント」認定講師、JPEA認定レジリエンストレーナー
著書 絵本『イライラ虫と・ま・れ』文芸社

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