不登校対策に「レジリエンス教育」を!

2022年12月18日

「レジリエンス」ってなに?

レジリエンスとは、逆境や困難に遭っても、そこから回復する力のことを言います。
JPEAレジリエンス認定トレーナーの私は、小学校や中学校で授業をする際、子ども達に「レジリエンスは、何かイヤなことがあったり、落ち込んだりしても、へこたれない力のことだよ」と話しています。

「~心の筋トレ レジリエンスを高めよう~」


令和4年7月、愛知県東海市内の小学校の教員研修会の講師として招かれ、レジリエンス教育の必要性にも触れたところ、養護教諭から不登校の子ども達にも声をかけるので、5・6年生全員にレジリエンスの話をして貰いたい。と依頼がありました。
そこで、11月に不登校の子ども達、保健室登校の子ども達も参加しての学校保健委員会で、「心の筋トレ レジリエンスを高めよう」というお話をしました。

ネガティブな感情をもつのは悪いことじゃない

 

「怖い」「不安」「心配」といったネガティブ感情は、人類が誕生した昔々から、備わっている生存本能です。だって、危険なものは覚えておかなければ襲われるかもしれませんよね。だから、私たちの脳はネガティブな感情に敏感に作られているんです。危険なものには近づかない。危ない場所には行かない。
私たちは、地震が怖いと知っているから、お水や食べ物を用意して備えます。そうしないと死んじゃうかもしれません。だからネガティブな感情をもつことは悪いことではないのです。
ただし、ネガティブな感情は頭にこびりつきやすいという副作用があります。
それが、落ち込みの原因にもなります。落ち込んだ時は、「少し休んで」というサインでもあります。どうしよう…とあがくと、余計に深く「ネガティブ沼」にはまってしまいます。
自分の欠点や出来ないことに目をやるのではなく、自分の「強み」を意識するよう心がけましょう。

捉え方によって行動が変わる

人にはそれぞれ捉え方のクセがあります。それを耳元でささやくオウム君のようなもの。と心の声をいろいろなタイプのオウムにたとえます。
保健委員会の委員の皆さんに、オウム君の劇を演じて貰い、それぞれの捉え方によって、感情も行動も変わることを伝えました。

子どもたちの感想から

子ども達の多くが、ネガティブな感情を持つのは良くないと思っていました。
「誰でもネガティブな感情をもつと聞いて安心した」「ネガティブな自分を責めていたけれど、これからは相談したい」など、ネガティブな感情を受け入れ、相談しようという気持ちに変わったことがうかがえます。
実際、放課後に「今まで相談したことがなかったけど、今日の話を聞いて相談にきました」と保健室に相談に行った子も数名いました。

「困ったら相談しなさいね」では相談できない

「困ったら相談しなさいね」と声をかけるだけでは、相談できない子もいます。でも、ネガティブな感情を否定されないとわかれば相談しようと一歩踏み出すことができるのです。
子どもの「強み」に目を向け、強みを伸ばし、自分を助けてくれる人がいることに気づかせてあげる。そして、好きな事が気晴らしの魔法になることも教えます。それを平常時に意識しておけば、筋肉のようにレジリエンスが鍛えられていきます。

レジリエンス教育は、不登校やメンタルヘルスの低下を予防することができます。そのことを今回の子ども達が身をもって教えてくれました。
「僕の生き方を変えるくらいの大事な授業でした」「いろいろ悩むこの時期にこのような機会を与えて下さりとても嬉しかったです」。
思春期の小学生にレジリエンスの話をすることは大変意義があることだと感じています。
保護者や教育者、支援者の皆さん、子どものメンタルヘルスを守るために、「レジリエンス教育」を取り入れてみませんか?

CORON 千田伸子(ちだ のぶこ)
コミュニケーションアドバイザー、大同大学非常勤講師、元アナウンサー、
構成作家、日本家庭教育学会認定家庭教育士、「セカンドステップ」指導講師、
「こころの発達アテンダント」認定講師、家庭教育カウンセラー
JPEA認定レジリエンストレーナー
著書 絵本『イライラ虫と・ま・れ』文芸社

https://coron-mam.com/

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